停車場日記

× インタビュー外伝3

2014-01-26 05:11

確認しておこう。
インタビューというのは、
インタビュアーという聞き手と、
インタビュイーという話し手とがいてはじめて成り立つ、
いわば共同作業なのである。


あたりまえなのである。


だが長いあいだ生きてると、
しばしば「あたりまえ」が通用しない場面に遭遇する。
立ちふさがる理不尽な壁。
ま、ふつうだったらそこを通らなければいいのだが、
仕事となるとそうはいかない。
その壁を知力と胆力で乗り越えなければならない。


おっとっと、
なんか壮大な前フリをしてしまった。
ごめん、ちっちゃいハナシなんだけど、ね。


ある日のこと、
リクルート関連の仕事で、大阪のパチンコ屋さんに取材に行ったワケ。
カメラマン同行で、テープレコーダーを担いでの社長インタビュー。
いつもながらの手慣れた仕事だ。
楽勝。……のはずだった。


テレコ


社長室に通された。
どうせドでかい椅子にデンと構えてるだろうと思っていたのだが、
かの社長、車椅子にチンマリ坐っているではないか。
同席していた息子の専務によれば、
脳卒中で倒れてようやく復帰したばかりだという。
言葉もまだ不自由なのだとか。
ま、いいや。いざとなったら専務が答えてくれるだろう。


カメラの照明のセッティングが終わり、
さあ、インタビューをはじめようとしたとき、
専務に電話が入った。
「あ、なに? うん、じゃあ、すぐ」
ちょっと悪い予感がした。
専務「すみません。急に仕事が。あとよろしくお願いします」
わたし「はあ」
残ったのは、わたし、カメラマン、車椅子の社長。


気を取り直したわたしは、
わたし「えー、ではまず、御社の社風についてお聞かせください」
社長「……ん、ぐぐ……うっ……(長い間)」
悪い予感がストライクゾーンド真ん中に的中した。
社長、言葉、不自由すぎ。


カメラマンに目で「ヘルプ」のサインを送るが、
やつの目も泳いでる。
進退きわまったわたしは、
「いや、あの、先ほど社内を見学させてもらったんですが、
非常に家族的というか、フランクな雰囲気でしたが、どうですか?」
社長「んぐ(ト、コクリとうなずく)」
ここでハラは決まった。


わ「御社が求める人材というのはどのような?」
社「ん……たた……(間)」
わ「やっぱり仕事的には大金を扱うわけですから、手堅い人がいいんじゃないでしょうか?」
社「(コクリ)」
わ「文系より体育会系ですかね。スポーツの部活なんかしていた人ですよね?」
社「(コクリ)」
わ「成績重視じゃなく、明るく健康的なイメージというか?」
社「(コクリ)」
以下同……要した時間、2時間。


もう、インタビューしてんだか、イタコの口寄せしてんだかわかんない。
この自分で質問して自分で答える方式で、最後までやり通しました。
なにしろ6ページの原稿である。
自分で言うのもナンだが、さすがオレ、である。


人間どこでどんな災難におそわれるかわからない。
だが道はどこかにある。
瞬時の判断が生死をわけるのだ。


むろん、帰りの運転はカメラマンにやらせた。
疲れ果てたわたしは、ただ静かに目を閉じていた。(ウ




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