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停車場日記

× 寺山さんとの出会い

2015-05-04 03:05

5月4日は寺山さんの忌日である。
深夜。いましも、か細い雨が音もなく降っている。
寺山さんには雨がよく似合う。
いつも濃紺のレインコートを羽織っていたもんな。
キザな人だった。
でも、とってもかっこいい人だったんだよ。
会ったとたん他者を魅了せずにはおかないチャーミングな人だった。
そして、わたしがその長い人生のなかで、
たったひとり「尊敬」という言葉に値すると感じさせてくれた人、
それがあなたです、寺山修司さん。


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寺山修司。
1935年、青森県弘前市生まれ。
1983年。没。享年47歳。
詩人、歌人、俳人、脚本家、演出家、小説家、作詞家、
エッセイスト、コラムニスト、評論家、映画監督、写真家etc……。
あまりの肩書きの多さに、
「職業は?」と問われると「寺山修司」と答えていたとか。
                           *
わたしと寺山さんを結びつけたのは一冊の新書本だった。
タイトルは「競馬場で逢おう」。
わたしはその本を、当時田町にあった「ブック・センター」という古本屋で買った。
たしか50円だったかと思う。
人生なんてホント不確かなもんだ。
たった50円でコロリとその先のすべてが変わってしまうんだ。
                            *
そのころのわたしときたら、高校は出たものの何をしていいかわからず、
京阪神の友人宅を泊まり歩いたり、
欧州を無銭旅行をしたりして、
展望の見えない暗闇のなかでもがき苦しんでいた。
そんなおり手にしたのが50円の古本だった。
競馬場で逢おう。
わたしはこの著者に逢えば「なにかが変わる」と直感した。
とりあえず「寺山修司」という作家の本をすべて読もうと、
(いまはなき)宮武書店に「ありったけ」と注文した。
ぜんぶで12、3冊あっただろうか。
詩集や短歌集が主だったが一週間でぜーんぶ読破し、
勇躍、わたしはリュックサックにそれらの本を詰め込んで、宇高連絡船に乗り込んだ。
                          *
当時渋谷にあった「演劇実験室・天井桟敷」のオフィスを訪ねた。
「寺山さんにお会いしたいんですが……」というわたしは、
もうすでに2時間近くも傍らの小汚いソファに坐らされていた。
やがて美人秘書・田中未知さんを伴って寺山さんが現れた。
一見「でけえ!」というのが第一印象だった。
(ほんとはオレと寺山さんの背丈はタメなんだけど、
寺山さんはカカト10センチの甲高サンダルを履いていたのだ。ずるい)。
わたしはすっかり舞い上がってしまい「あの、オレ、ボク……」とかいってるうちに、
「うん、今度入団試験があるから、受けてよ。いっしょに芝居つくろうね」と、
肩をポンと叩いてまたどこかに去って行った。
                           *
「颯爽」という言葉が似つかわしい振る舞いだった。
とにかく、あんなカッコイイ大人にははじめて出会った。
さらにいえば、わたしは文学のハナシでもしようと思っていたのに、
なぜか劇団の試験を受けさせられることになった。
劇団? 芝居? なにそれ?
                           *
てな、てんやわんやのなかで
慌ただしくもワケもわからず芝居の世界の巻き込まれていった。
日々、新鮮だった。
世の中に「こんな面白い世界があるのか」と目を見張った。
それがわたしの芝居屋人生の事始めだ。
                            *
もしかしたら、と思う。
あのまんまウツ状態の青春がつづいていたら、
けっきょくクソおもしろくもない「地方での地味な生活」に落ち着くのが関の山だし、
もしかしたらアル中にでもなっていたかもしんない。
それらの鬱屈を取り払い、
見晴らしのいい「演劇」というシーンに誘ってくれたのが寺山さんだ。
それだけでも大恩人だといえる。
                            *
冒頭にも書いたように、今日は寺山さんの忌日だ。
ふと、思い出しちまったよ、いろんなこと。
そんなあれこれをそのうち書くこともあるだろう。
いまの時点でいえることは「50円をバカにするなかれ」だな。
たった50円が人生を根底からくつがえすこともあるのだ。
ふふ、ご用心ご用心。
                             *
 ・混沌は人に宿らむ寺山忌


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