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停車場日記

× 「銀版・熱海殺人事件」宣言

2015-06-15 03:35


その日、わたしは映画を観ていた。
                   *
だがアタマの隅には、
「うーん、秋公演、なにやるかなあ?」という設問が絶えずのしかかっていた。
いくつかアイデアはあった。
だがどれも決定打ではなかった。
早い話「これだ!」という決め手に欠けるのだ。
                   *
映画の途中「あっ」というひらめきがあった。
あとはもう映画の内容などどうでもよくなった。
その作品の実現性と演出プランがアタマのなかを駆け巡る。
「うん、いける、いける」と興奮して、映画半ばにして退館した。
(後日、また観にいったのだが)。
                    *
そのひらめきとは、
つかこうへいの「熱海殺人事件」をミュージカル化しようという企てだった。
つかさんの「熱海……」にはさまざまなバージョンがあるがミュージカル版はない。
それをわたしらで実現したい、熱烈にそう思った。


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早速、ウチに帰って、
上演権がどうなっているかとネットで検索してみた。
ところがなんと、商業演劇以外は上演料ご無用とのこと。
あらためて思った。
すごい人だなあ、つかさんって。
後進のために自分の著作権を放棄しているのだ。
作家としての覚悟が違う。
もっともわたしたちにとっては好条件でもある。
それもこれもふくめてつかこうへいたる風雲児のかっこよさにシビれた。
                        *
だがそれだけに今回の公演はぜったい失敗ができないぞと、
固く肝に命じた。
つかこうへいの名を汚してはならない、
それがいまのわたしの心境である。
                         *
わたしはつかさんの「熱海……」をごく若いころに観ている。
紀伊國屋ホールだった。
もはや遠い記憶だからしかとはいえないが、
主役の伝兵衛が三浦洋一だったか風間杜夫だったか。
熊田刑事が平田満、大山金太郎に加藤健一だったか。なあ。
                         *
とにかくすごい衝撃を受けたことは確かだ。
わたしは寺山修司に師事してい、
唐十郎さんや鈴木忠士さんたちと同じく演劇革命の第一世代に属していた。
だがそのつばぜり合いを切り裂いて、若武者のように切り込んできたのがつかさんだった。
のちに第二世代などという言い方がされるが、つかさんは独特だった。
差別と屈服のなかからいかに人が人たるを実現するか。
古いテーマのようであって、じつに永遠のテーマである。
つかさんはそこに人間の根源を見た。
                         *
わたしたちはつかこうへいさんの意思を継ぎつつ、
新しい表現を模索しようと考えている。
すでに台本の三分の一はリライトした。
                         *
わたしはいま幸福感に包まれている。
だが前途は厳しい。実感としてそう思う。
演技力、歌唱力、なにもかもが未熟だ。
だが奇妙に楽観的であるとともに、愉悦の船出だとも思っている。
                         *
残された半年、
わたしは悔しさと苦しみのなかでのたうつだろう。
だがそれに倍して楽しみも味わうだろう。
                          *
今回の作品をつかこうへいさんへのリスペクトとする。
ボンボヤージ。
よき船出とならんことを。(ウエ





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